ギルバート・オサリバン世界初の単行本

「ギルバートマニア」書籍化によせて

2021年6月

序文

私がオサリバンのファンになったのは中学の時。「ホワイオーホワイ」がラジオから流れいい曲だなと思ったのが最初でした。その後「マリッジマシーン」や「二人の願い」も頻繁に流れ、当時好きだったビートルズ、ポールマッカートニー、アルバートハモンド、ミッシェルポルナレフ、カーペンターズに並んで夢中になったアーティストの一人でした。

しかしポールマッカートニー同様、他のアーティストとは一つ頭が抜ける特別な存在になったのは高校2年のとき。「日立ミュージックインハイフォニック」という当時10時か10時半に西日本放送でかかっていたラジオ番組でオサリバンの特集をやっていたのがきっかけでした。そして「グレイテストヒッツ」というベスト盤を購入したのが始まりです。「アローンアゲイン」「クレア」「愛のジェット便」などは知っていたものの、改めて聴くとその他の楽曲も同様に曲がどれもよく出来ている。その粒揃いの楽曲がポール同様、私を夢中にさせたのです。ビートルズでさえ、当時のベスト盤(赤と青の2枚組)のすべてを好きになることはなく、私の場合、好みは圧倒的にポールの曲に偏っていました。オサリバンの場合LPの曲を飛ばしてかけるということがなかったのです。

オサリバンが特別な存在になったのは、極めて安定した楽曲のレベルの高さがその理由でした。大学時代は廃盤となったオサリバンのレコードを休みに探しまわるのが日課となり、就職してからは海外のファンとの交流から日本ではリリースされていない音源やライブ等、たくさんのものに恵まれました。

その情熱が通じたのでしょうか。ちょっとしたことがきっかけで1998年にキティから出たCD「グレイテストヒッツ」のライナーの依頼があり、その後も以下のようなCDのライナーや対訳の機会がありました。

ライナーノーツや対訳

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ギルバートオサリバングレイテストヒッツ

1998年

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ヒムセルフ

1972年

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ラブソングス

1998年

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アイルリッシュ

2000年

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ピアノフォアプレイ

2003年

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ベストヒッツ&レアリティーズ

2004年

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アザーサイドオブギルバートオサリバン

2004年

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スクラッフアットハート

2006年

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ギルバートヴィル

2011年

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ラテンアラG

2015年

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ギルバートオサリバン

2018年

他、『バックトゥフロント』のライナーなど。

ギルバート・オサリバン

Gilbert O’Sullivan

1970年代前半、シンガーソングライターとして最も人気のあった一人がイギリス出身のギルバート・オサリバンです。一般に親しまれている曲としては日本なら「アローンアゲイン」や「クレア」でしょう。CMを始めテレビドラマの主題歌やさまざまな番組のバックグラウンドミュージックとしても使われ、日本の有名なアーティストの多くが彼のファンだったと公言する影響力のある存在でした。1990年代になって初来日しその後、頻繁に日本でコンサートを開いています。

編集中の原稿

書籍出版プロジェクト

初めてオサリバンの曲を聴いてちょうど半世紀。
プロモーション用のCDやポスター、当時のファンクラブの会報やラジオ音源、テレビ番組の他、海外のコレクターからのレアな音源(アセテート盤)など、この50年で膨大な数の宝物が集まりました。
そこでこれらの情報を一冊の本にまとめ、オサリバンのファンの方達と共有できないか、と数年前から考えていました。

オサリバンが好きといっても程度はさまざまです。非常にディープでマニアックなファンもいれば「アローンアゲイン」などの代表曲は好きだけど他の曲にはさほど興味がないファンまで多様です。それはどのアーティストにも共通していることでしょう。

しかし楽曲のレベルの高さと、現在でも同年代のアーティストの追随を許さない程の曲作りの情熱に燃え、精力的に活動していることから、単独で取り扱う価値があるとの確信から、一般のファンにはその良さを知ってもらい、全世界のギルバートマニアには彼の活動を集大成したものを手元に置いて欲しいとのことから本を作ることにしました。

Himself LP (著者所有)
Himself LP (著者所有)
Himself CD (著者所有)
Himself CD (著者所有)
Humble beginning (著者所有)
Humble beginning (著者所有)

左:著者、右:ギルバート・オサリバン
2022年4月24日 新宿文化センター楽屋にて

この本は2021年の3月にオサリバン本人に連絡を取り、オサリバンの本を書く許可を得たうえで進めています。オサリバンの楽曲を管理している渡辺音楽出版社や音楽をリリースしているビクターエンタテインメントにもその旨をご報告をしての執筆、制作です。

オサリバンが「Nothing rhymed」でデビューする前から2018年にリリースされた『Gilbert O’Sullivan』までを扱っています。 私はオサリバンがもっともっと評価されていいと思っています。 どうぞよろしくお願いいたします。

2021年6月 平見勇雄